改訂第2版 序文  

 現代医療の中で臨床検査は臨床診断へのアプローチ手段として欠かすことのできないツールになっている。病院のみならず,診療所においても臨床の現場ではおびただしい数の検査情報が項目リストから必要項目をチェックするといった容易な方法で極めて迅速に提供される。臨床診断の過程で臨床検査はスクリーニング,鑑別診断,確定診断,治療選択,経過の観察,予後判定などさまざまな目的で利用される。正確な判断のためには必要な検査情報を総合的に判断する必要があるが,国の医療費抑制策の中ではやたらに検査項目数を増やすべきではなく,それぞれの疾患や病態や検査の目的によって必要最小限の検査項目を選択することが求められる。膨大な数の検査について,それぞれの臨床的意義を熟知して検査項目の選択を行うには実地医家や臨床検査医はあまりに多忙であり,検査の範囲は極めて広範である。そのような多忙な実地医家や臨床研修医が,それぞれの検査の意義を正しく理解し,病態や検査目的に応じた検査の選択をするための補助として,本書は企画され,2001年に初版が刊行され,第一線の臨床現場で活用されてきた。  
  しかし,医療は日進月歩であり,臨床検査も僅か3年の間にも多少の動きもみられ,診療報酬改定に伴う変化もあるので,これらに対応した小規模の改訂を加えて第2版を刊行することになった。本書は各領域の専門医が執筆し,豊富な図表と簡潔な記載でまとめられ,日常の臨床現場で利用しやすいように配慮されている。本書が実地医家,臨床研修医など多くの臨床医の日常診療現場で活用されることを願っている。