序 文
このたび、永井書店の単行本「実地医家に必要なステロイドの上手な使い方」の編集を担当させて頂く機会を得た。1948年9月21日、Henchは合成コルチゾンを初めて関節リウマチ患者に使用し、劇的な効果を得た。彼はこの発見によりノーベル賞を受賞するが、すぐにこの治療は重篤な副作用を引き起こすことも明らかにされた。しかし、それにもかかわらず、その後もステロイドは多くの疾患に使われるようになった。また、多くの新薬が登場しつつある今日にあっても、ステロイドは依然として臨床の場における中心的薬物の1つである。本書は、近代臨床医学の発展に大きく貢献したステロイドについて、実地医家に必要な情報という観点でありながら最新の情報も含んだ内容を、専門家諸氏にわかりやすくご執筆頂いた。本書が多くの臨床医の日常診療に大いに利用して頂くことを期待したい。
なお、ステロイドはいうまでもなくグルココルチコイド(糖質コルチコイド)、ミネラルコルチコイド(電解質コルチコイド)、および性ホルモンなどを含む幅広いホルモンの総称だが、本書は特に炎症性疾患などで広汎に用いられているグルココルチコイドの解説書として企画・編集した。グルココルチコイドは、歴史的には、コルチコステロイド、副腎皮質ホルモン、副腎皮質ステロイドなどとさまざまに呼ばれてきたが、本書では“ステロイド”に統一させて頂いた。
川合眞一