序 文
脳神経外科バイブルシリーズの第4弾は、三大脳神経外科疾患の最後の砦である「脳腫瘍」です。もとより筆者は脳腫瘍の専門家でないので、執筆するにあたり悪戦苦闘の連続で予定より刊行が大幅に遅れましたが、なんとか完成することができました。脳腫瘍のエキスパートの方々からみれば、異論や不十分な箇所があるかも知れませんが、その際にはご意見を編集室へお寄せ頂ければ幸いです。一方、筆者が専門家でない分、専門書にありがちな難解な用語を用いることなく、わかりやすく書きあげることができたのではないかと自負しています。
本書の構成および特徴は、既刊の「脳神経外科バイブル I,II,III」と基本的には同じで、以下のようになっています。
1第1章は、脳腫瘍を理解するのに必要な解剖、生理や症候群です。
2第2章は基本編ともいうべき部門で、基本的な事項や実地臨床でよく遭遇する疾患を中心に記載してあります。
3第3章は、第2章で取りあげた疾患についてはさらに深く掘り下げて述べるとともに、稀なる疾患についても記載しました。
4第4章は、読者の方々がベッドサイドや試験勉強のときに役立つようにとの配慮から設けました。第2章や第3章のまとめ、さらには「耳よりな情報」として種々の項目を取りあげてありますので、ご利用下さい。
5本書のところどころに「快適空間」として、余白部分を設けました。読者の方々のメモ代わりとして、また本書の不足な部分を書き加えるなど、自由に使って頂ければと思っています。
6既刊の「脳神経外科バイブル I,II,III」で取りあげた項目で、本書においても重要であると思われた箇所についは再度取りあげ掲載しましたが、文献については一部割愛しました。
本書を執筆するにあたり、診断の基礎となる脳腫瘍の発生部位や頻度については「脳腫瘍全国集計調査報告書 (Neurologia medico-chirurgica.
Vol. 43, Supplement, 2003) 」に従い、また病名については「脳腫瘍全国統計委員会・日本病理学会(編):臨床・病理脳腫瘍取扱い規約.第2版
(金原出版,2002) 」に則り、さらに用語については「日本脳神経外科学会用語委員会(編):脳神経外科用語集 (南江堂,1995) 」を参考にしました。
なお組織学的所見については、前兵庫医科大学病院病理部教授窪田 彬博士に助言やご校閲を頂きました。ここに心から感謝の意を捧げます。 また、資料の収集や整理にご協力頂いた埼玉医科大学脳神経外科医局秘書井出トク子様に深甚の謝意を表します。
2004年10月 窪田 惺