頭蓋骨腫瘍や眼窩内腫瘍は,他の脳外科疾患に比して頻度が少ないためか適当な和書がなく,そのような症例に遭遇した場合,いちいち文献を取り寄せなくてはならず,筆者のみならず多くの方々が不便を感じていたのではないかと思います.このような状況を鑑み,脳神経外科バイブルの第2弾として,「頭蓋骨腫瘍と眼窩内腫瘍」を取り上げました.しかし,いざ執筆となると筆者の経験も限られており,また文献,特にMRI所見の報告は少なく,充実したものを完成させるのに些か苦労をしました.エキスパ−トの方々からみれば異論のあるところやまだまだ不十分な個所があるかもしれませんが,御意見を頂ければ大変ありがたいと思っています.そして読者の方々の力で,本書をより良いものにしていきたいと思っています.
本書は,第1部が「頭蓋骨腫瘍と腫瘍類似疾患」,第2部が「眼窩内腫瘍と腫瘍類似疾患」となっています.各部の構成は,基本的には「脳神経外科バイブルI.脳血管障害を究める」と同じで,以下のようになっています.
1.第1章は頭蓋骨腫瘍や眼窩内腫瘍を理解するのに必要な解剖,生理,神経学的所見や症候群についての章です.
2.第2章はの基本編ともいうべき部門ですが,基本的な知識のみにとどまらず,高度な内容も盛り込んであります.
3.第3章は頭蓋骨腫瘍や眼窩内腫瘍の各病変についてさらに深く掘り下げて述べるとともに,第2章で取り上げなかった新しい項目についても記載してあります.
4.第4章は「便利編」と称し,重要な項目をまとめてあります.読者の方々から”まさに便利編”だと評価して頂けるものと信じています.
5.本書のところどころに「快適空間」として,空白部分を設けました.読書の方々のメモ代わりとして,また本書の不足な部分を書き加えるなど,自由に使って頂ければと思っています.
その他,用語については日本脳神経外科学会用語委員会編の「脳神経外科学用語集(南江堂,1995)」を参考にしました.また,「脳神経外科バイブルI. 脳血管障害を究める」に記載した項目で本書においても重要であると思われた個所については,再度取り上げ掲載しました.