KPUM 小児ICUマニュアル Version 8

KPUM 小児ICUマニュアル Version 8
編 著
佐和 貞治
小尾口 邦彦
分 類
集中治療医学(ICU/CCU)・小児外科学・小児科学一般
発行年
2023年7月
仕 様
B6判・472頁
定 価
本体 6,800円+税
ISBN
978-4-8159-1924-5
特 色
1991年4月初版刊行。
小児特有の周術期管理のエッセンスを図表を中心に簡明にまとめ、ICUや小児外科の現場で確かな支持を得てきたマニュアルのVersion 8。
小児集中治療医学は本書刊行後も、その質・量ともに著しい発展を遂げてきた。
この急激な発展への追随をはかるべく、今回Version 8でも臨床現場で働く若き小児集中治療医達や関連する医療スタッフの実践的な助言を受け、内容の充足と最新知識への更新に努めた。
専門医のみならず、PICUを目指す方々や小児科医、麻酔指導医・救急指導医の認定医を目指す方々、看護スタッフの方々の必携書であり、小児集中治療の現場で必ず役立つ指針書である。

Version 8 (改訂第8版)序

この「小児ICUマニュアル」初版は,当時,京都府立医科大学附属小児疾患研究施設での小児集中治療室にて,先天性小児心臓疾患の術後管理を中心に取り組んでいた先輩スタッフが 小児集中治療管理のノウハウに関するメモ的な記録として残しておられたものを,当時,小児ICU室長であった橋本悟先生と,医学部卒後4年目で小児集中治療専属配置となった私が整理いたし, 当時の京都府立医科大学麻酔学教室の宮崎正夫教授に相談いたし,一冊のマニュアル本にまとめて永井書店より発刊頂いたものでした. その後には全国に小児疾患の専用医療機関や小児ICUが作られて,この30年間にさまざまなことが変革してきたことと思います. このマニュアルは,京都府立医科大学 (KPUM)の小児ICUのスタッフが執筆して改訂することが目的であり,執筆者に本マニュアル出版が帰属しているのではなくて, KPUM 小児ICUに帰属しているということが初版の出版に関わった私の思いです. その思いの中で,今後も本マニュアルが,小児ICUの臨床現場の取り組みの中から経験されるノウハウをまとめ上げるものとしての位置づけを明確にし, そのために今後も京都府立医科大学小児ICUのスタッフが改訂に関わるものであることとして,第7版からは「KPUM 小児ICUマニュアル」とさせていただきました. 第8版では,京都府立医科大学附属病院集中治療部の小尾口邦彦先生らの新しいスタッフが,新たなアイデアで内容の刷新に取り組んでくれました. 小児ICUマニュアル第1版が1991年に発刊されて以来,すでに30年以上の歳月が流れました. 本書がこの30年の長きにわたり小児集中治療に携わる皆さまに活用されてきましたことは,ひとえに時代の変革に合わせて情熱をもって改訂に取り組まれてきた執筆陣の方々と, 改訂版発刊にご尽力を頂いてきた永井書店の皆さまに改めて感謝申し上げます.
2023年5月
京都府立医科大学麻酔科学教室 佐和 貞治

■ 目次 ■

●第1章 循環の管理
T. 心肺蘇生
1. 小児の心停止に至る経路
2. 小児の心肺不全
3. 小児の心肺蘇生
4. 蘇生時に使用する薬剤
U. ショック
1. ショックの定義
2. ショックの分類
3. 診断
4. 治療
V. 心不全
1. 心不全の評価
2. 心不全の治療
W. 先天性心疾患の周術期管理
1. 術後管理総論
2. 小児心臓術後合併症
3. 小児心臓術後 −疾患・術式ごと−の注意点
4. 術前管理
5. 先天性心疾患の手術リスク
X. 心筋炎
1. 診断
2. 症状
3. 予後
4. 管理
Y. 機械的循環処置
1. ペーシング
2. 電気的除細動
3. 体外式心肺補助(ECMO)
Z. 酸素代謝・その他の計算式等
1. 酸素代謝
2. その他の計算式
●第2章 呼吸の管理
T. 呼吸促迫・呼吸不全の診断
1. 呼吸促迫・呼吸不全の診断
2. 新生児呼吸障害の重症度判定
2. ARDS (Acute respiratory distress syndrome)の診断
U. 酸素療法と人工呼吸
1. 酸素療法
2. 気道確保
3. 機械的人工呼吸法
4. 人工呼吸器
5. 非侵襲的換気法
6. 体位排痰法
V. 各種呼吸不全病態と治療
1. 急性呼吸促迫症候群 (ARDS)
2. 気管支喘息
3. 特殊呼吸療法
4. 新生児の呼吸管理
5. クループ
W. 参考
1. 解剖
2. 数値・計算式
●第3章 水分・電解質・腎臓の管理
T. 水分・電解質管理
1. 水分管理
2. 電解質管理
3. 酸塩基平衡
4. 熱傷
U. 腎臓の管理
1. 腎不全
2. 腎障害の診断
3. 利尿薬
4. 溶血性尿毒症症候群 (HUS)
●第4章 栄養の管理
T. エネルギー所要量
1. エネルギー必要量
2. 蛋白必要量
3. 血中グルコース (血糖)正常値
U. 栄養評価
1. 各種栄養評価方法
2. 窒素バランス (N-balance)
3. 血清総蛋白,アルブミン濃度 (年齢別正常値)
V. 栄養各論
1. 完全静脈栄養 (Total parenteral nutrition : TPN)
2. 経腸栄養法 (Enteral nutrition : EN)
3. ミルク・食事
4. インスリン療法
●第5章 消化管の管理
T. 消化管
1. 下痢・胃腸管蠕動低下,便秘症・嘔吐
2. 新生児壊死性腸炎 (Necrotizing enterocolitis : NEC)
3. ストレス潰瘍
U. 肝
1. 新生児黄疸と光線療法
2. 肝機能障害
3. 劇症肝炎,急性肝不全
●第6章 感染症の管理
T. 病原微生物の分類
1. 細菌 : グラム陽性菌
2. 細菌 : グラム陰性菌
3. ウイルス
4. その他の病原菌
5. 真菌
U. 感染症の予防
1. 感染経路別予防策
2. 血管留置カテーテル関連血流感染予防策
3. 人工呼吸器関連肺炎予防策
4. 膀胱留置カテーテル関連尿路感染予防策
5. 手術部位感染予防策
V. 感染症の診断
1. 微生物学的診断
2. 炎症と敗血症 (Sepsis)の定義の変遷
3. 院内感染の診断
W. 感染症の治療
1. 各種抗菌薬
2. 抗菌療法
3. 各論
●第7章 血液凝固の管理
T. 輸血
1. ヘマトクリット (Ht),ヘモグロビン (Hb)濃度
2. 貧血の補正
3. 造血を目的とする製剤
4. 血小板の補充
5. 新鮮凍結血漿の補充
6. 血液製剤
7. アルブミン製剤
8. 血漿増量薬
U. 止血・凝固
1. 出血のコントロール
2. 抗血栓療法
3. DIC (Disseminated intravascular coagulation)
●第8章 神経・疼痛の管理
T. 意識障害
1. 小児意識レベル評価法
U. 鎮痛・鎮静・筋弛緩
1. 鎮痛・鎮静・筋弛緩の注意点
2. 鎮痛・鎮静・筋弛緩薬剤投与量
3. 疼痛スケール
4. 鎮静スケール
5. 麻薬やベンゾジアゼピン薬からの離脱症状評価スケール
V. けいれん重積発作
1. けいれん重積の評価と治療
2. けいれん重積に用いる薬剤
W. 意識障害・脳炎・脳症
1. 意識障害のある小児へのアプローチ
2. 急性脳症の鑑別疾患
3. 臨床病理学的特徴による脳症の分類
4. 急性脳症の治療
X. 頭蓋内圧亢進
1. 頭蓋内圧亢進症
2. 重症頭部外傷脳圧管理プロトコル
3. 脳浮腫治療の薬剤
Y. 脳死
1. 臓器提供の可能性がある患者の管理
2. 小児の脳死判定基準
●第9章 血液浄化
T. 血液浄化療法の原理
1. 血液浄化療法の3大原理
2. 血液浄化療法の原理と分子量
U. 腎代替療法 (RRT)
1. 腎代替療法の適応
2. 腎代替療法の種類
3. IRRT・CRRT の実際
4. IRRT・CRRT のパフォーマンスの考え方 (成人)
5. 小児のCRRT のパフォーマンス
6. dialy- and CRRT trauma 概念
7. CRRT 用血液浄化液
8. 目的別 IRRT・CRRT モード選択
9. 吸着原理を重視した CRRT
10. 薬物中毒への血液浄化
V. 血漿交換療法
1. 血漿交換療法の原理
2. 血漿交換療法の適応疾患
3. ガイドラインに基づいた治療選択
W. 血液吸着療法
1. カラムに除去目的物質の吸着物質が封入される
2. 血液吸着の例
X. 小児血液浄化の実際
1. 血管アクセスの部位
2. 回路のプライミング
3. 抗凝固療法
4. 小児血液浄化用ダブルルーメンカテーテル
5. 小児 CRRT ヘモフィルター
6. 血漿交
●第10章 基礎的事項 その他
T. ライン管理
1. 血管内カテーテル
2. 薬液投与設計
3. カテーテル関連血流感染症
4. サイズ換算表
U. 年齢区分・正常値
1. 小児の年齢別区分
2. 小児のバイタルサイン
3. 新しく提唱された小児の心拍数と呼吸数
4. 小児の身長・体重
5. 身体発育表・発育曲線
6. 年齢別血液生化学データ
V. 重症度評価
1. 小児臓器不全の評価
2. 重症度スコアリング
3. その他
W. 先天性心疾患略語集
●第11章 薬剤
T. 薬物療法総論
1. 小児に対する薬物投与時の留意点
2. 小児に対する薬用量
U. 薬物療法各論
1. 蘇生時に使用する薬剤
2. 抗不整脈薬
3. 挿管時に用いる薬剤
4. 持続投与薬剤早見表
5. ホルモン (補充)療法
6. 薬物血中濃度基準値
薬剤索引
一般索引

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