Version 8 (改訂第8版)序
この「小児ICUマニュアル」初版は,当時,京都府立医科大学附属小児疾患研究施設での小児集中治療室にて,先天性小児心臓疾患の術後管理を中心に取り組んでいた先輩スタッフが
小児集中治療管理のノウハウに関するメモ的な記録として残しておられたものを,当時,小児ICU室長であった橋本悟先生と,医学部卒後4年目で小児集中治療専属配置となった私が整理いたし,
当時の京都府立医科大学麻酔学教室の宮崎正夫教授に相談いたし,一冊のマニュアル本にまとめて永井書店より発刊頂いたものでした.
その後には全国に小児疾患の専用医療機関や小児ICUが作られて,この30年間にさまざまなことが変革してきたことと思います.
このマニュアルは,京都府立医科大学 (KPUM)の小児ICUのスタッフが執筆して改訂することが目的であり,執筆者に本マニュアル出版が帰属しているのではなくて,
KPUM 小児ICUに帰属しているということが初版の出版に関わった私の思いです.
その思いの中で,今後も本マニュアルが,小児ICUの臨床現場の取り組みの中から経験されるノウハウをまとめ上げるものとしての位置づけを明確にし,
そのために今後も京都府立医科大学小児ICUのスタッフが改訂に関わるものであることとして,第7版からは「KPUM 小児ICUマニュアル」とさせていただきました.
第8版では,京都府立医科大学附属病院集中治療部の小尾口邦彦先生らの新しいスタッフが,新たなアイデアで内容の刷新に取り組んでくれました.
小児ICUマニュアル第1版が1991年に発刊されて以来,すでに30年以上の歳月が流れました.
本書がこの30年の長きにわたり小児集中治療に携わる皆さまに活用されてきましたことは,ひとえに時代の変革に合わせて情熱をもって改訂に取り組まれてきた執筆陣の方々と,
改訂版発刊にご尽力を頂いてきた永井書店の皆さまに改めて感謝申し上げます.
2023年5月
京都府立医科大学麻酔科学教室 佐和 貞治