MIMMS 大事故災害への医療対応

現場活動における実践的アプローチ 第3版−



著 者
(原著)Advanced Life Support Group
(邦訳)MIMMS日本委員会
発行年
2013年 7月
分 類
災害医学
仕 様
A4判・178頁
定 価
(本体 4,700円+税)
ISBN
978-4-8159-1910-8
特 色 
 わが国で初めて本格的な大事故災害の現場医療対応が行われたJR福知山線脱線事故が起こったのは2005年4月.MIMMSの実際のコースがわが国に紹介されたのは,その2年前の2003年2月であり,育ちつつある多くのMIMMSプロバイダーがこの大事故災害の現場医療活動で活躍した.そして,防ぎ得る死ゼロを達成した災害医療対応として高く評価された.
 MIMMS第2版が和訳出版されたのも2005年4月,それから8年の間にMIMMSコースの国内での開催,MIMMSの災害医療対応のさらなる普及にともない,たくさんのプロバイダー,インストラクターが養成され,いまやMIMMSはわが国の災害医療対応における重要な共通言語となっている.
 今回,英国でのテキスト改訂にともない,MIMMS日本委員会が和訳を行い第3版を上梓した.従来の項目の修正,新たに緊急隊員のための安全トリガー(ステップ1-2-3),継続評価プロセスとしてのHANE,といった項目を追加し,全体の構成や記述は2版に比べ大幅に整理され,理解しやすく充実洗練された内容となっている.
 災害医療に取り組むすべての人々にとってぜひ採り入れていただきたい,非常に役立つテキストである.

■ MIMMS 第3版 まえがき ■

 MIMMSの第2版テキストが、『「大事故災害への医療対応、現場活動と医療支援」−イギリス発、世界標準−』として和訳出版されたのは2005年4月、今から8年前である。この年4月25日に、死者107名というJR福知山線の脱線による大事故災害が発生した。多くの医療者が事故現場に参集し、わが国で初めて本格的な大事故災害の現場医療対応が行われたことは広く知られている。実は、この時に活躍した医療者の間で共通言語となっていたのが、MIMMSの大事故災害への医療対応、CSCATTTであった。
 MIMMSの実際のコースが我が国に紹介されたのは、第2版出版の2年前、2003年2月である。英国大使館の主催、日本救急医学会の共催により、Dr. Kevin Mackway-Jones らが招聘され、MIMMS advanced courseのデモンストレーションコースが東京と大阪で開催された。「オールハザード」アプローチ、CSCATTT、METHANEといったMIMMSのキーワードは、参加した医師たちの心を瞬く間に捉えた。その後、日本DMAT養成研修テキストに組み入れられるなど、MIMMSの概念は、急速にわが国の災害医療従事者の間に普及していった。国内でのMIMMSコースの開催にともない、たくさんのプロバイダーやインストラクターが育ちつつあるなかで、JR福知山線脱線事故が発生した。多くのMIMMSプロバイダーが活躍したこの時の現場医療活動は、防ぎ得る死ゼロを達成した災害医療対応として、今日でも高く評価されている。
 その後、10年の間にMIMMSの災害医療対応はさらに普及し、2013年3月の時点で51名のインストラクター、664名のプロバイダーが養成されている。いまやMIMMSは、わが国の災害医療対応における重要な共通言語であると言っても過言ではない。
 今回、英国でのテキストが改訂されたのに伴い、MIMMS第3版の和訳をMIMMS日本委員会で行った。本書では、大事故災害への「オールハザード」アプローチ、災害時医療対応の「ABC(基本)」としてのCSCATTT、安全の1-2-3、METHANE、ふるい分けトリアージ、選別トリアージといった従来の項目が収載されているが、内容の一部は第2版から修正が加えられている。さらに新たな内容として、緊急隊員のための安全トリガー(ステップ1-2-3)、継続評価プロセスとしてのHANE、といった項目が追加されている。CSCATTTと同様に、これらも今後、わが国の災害医療における新たな共通言語となっていくことを期待したい。
 また第3版を手に取っていただければ、全体の構成や記述が第2版にくらべて大幅に整理され、理解しやすくなっていることに気づかれるであろう。より充実し洗練された改訂版の和訳を担当したものとして、災害医療に取り組むすべての皆様にとって本書が第2版以上に役立つテキストとなれば幸いである。

2013年6月
MIMMS日本委員会 溝端 康光
(大阪市立大学大学院医学研究科 救急医学 教授)

■ 主要目次


MIMMS第3版 まえがき
訳者一覧
第3版 序文
第1版 序文
謝 辞
インターナショナルリファレンスグループおよび 英国ワーキンググループ
著 者
連絡先およびウェブサイト情報

PART I 序 論

1章 序 論
2章 大事故災害への体系的アプローチ

PART II 組 織

3章 保健サービスの組織と役割
4章 緊急サービスの組織と役割
5章 その他の支援機関の組織と役割

PART III 準 備

6章 計 画
7章 個 人 装 備
8章 医療装備(医療資器材)
9章 トレーニング

PART IV 現場の管理(マネジメント)

10章 指揮と統制
11章 保健サービスの現場レイアウト
12章 現場の安全
13章 情 報 伝 達
14章 評 価

PART V 医療支援(サポート)

15章 トリアージ
16章 治 療
17章 搬 送

PART VI 特 殊 災 害

18章 危険物およびCBRNによる災害
19章 多数の小児が巻き込まれた災害
20章 重症熱傷患者が発生する災害
21章 マスギャザリング
22章 自 然 災 害
23章 非代償性大事故災害

PART VII 付 録

付録A 大事故災害の心理学的側面
付録B メディア
付録C 記録(ログ)
付録D 遺体の取扱い
付録E 無線機の使い方と通話法
付録F 病院の対応
付録G ヒューマンファクターズ

MIMMS翻訳第3版追補

救急隊員・消防隊員の階級と階級章
警察官の階級と階級章
用語の対訳
略 語

INDEX


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