現代 児童青年精神医学 改訂第2版


著 者
編著:
山崎 晃資(臨床児童精神医学研究所 所長・医療法人弘徳会愛光病院 顧問)
牛島 定信(三田精神療法研究所 所長)
栗田  広(社会福祉法人全国心身障害児福祉財団全国療育相談センター センター長)
青木 省三(川崎医科大学精神科教授)
発行年
2012年￿11月
分 類
精神医学
仕 様
B5判・734頁
定 価
(本体 11,000円+税)
ISBN
978-4-8159-1905-4
特 色 
 2002年の初版では,子どもにかかわるさまざまな領域で学ぶ学生の教科書,すべての方々の参考書として,児童青年精神医学の知見を集大成し,子どもの「こころの問題」を体系的にまとめ,その質,量とともに絶大な指示を得た.
 それから10年,めまぐるしい政治・経済・社会状況の変化,東日本大震災・原発事故などの災害,子どもをとりまく環境はより多様化し,急激に変化する環境はその影響もまた強く,こころの不安定さは増幅され,深刻さはますます深くなるばかりである.
 反面,子どものこころの問題にかかわる人々が,さまざまな職種・領域で急増しているのも事実である.しかし,これらの人々は,真摯にこころの問題に取り組んではいるものの,精神医学を体系的に学ぶ場がなく,それぞれの数少ない事例をもとにした対応では苦慮する場面に直面し,行き詰まってしまうことが現実である.
 今回,子どもをとりまく時代背景の急激な変化を見つめ直し,研究と臨床における膨大な蓄積をもとに大幅に改訂を行った.章立ても組み替え,執筆者もそれぞれのテーマに精力的に取り組んでいる方々を中心に大幅に入れ替え,資料は可能な限り最新のものを使うようにした.
 本書によって「児童青年精神医学」という生きた学問を体系的に学び,日々出会う子ども達との真剣なかかわりのなかから,「こころの問題」を持つ子ども達の精神的健康の達成のために役立てていただきたい.現時点における「児童青年精神医学」の決定版である.

■ 改訂第2版序文 ■

 平成14年8月に「現代 児童青年精神医学」(第1版)が発行されて以来、既に10年が経過した。幸いにして多くの読者から高い評価を得ることができ、改訂版の発行への強い要望が寄せられるようになった。
 初版の序文に、「現代という時代を真摯に見据え、新しい児童青年精神医学の知見を集大成した」と書いたが、この10年間のめまぐるしい政治・経済・社会状況の変化は、子どもたちの生活にもさまざまな影響を与えてきている。毎日のように報道される学校におけるいじめに起因すると考えられる子どもの自殺、東日本大震災と原発事故によっていまだに通常の生活に戻ることのできない多くの子どもたちの不安定な生活環境、そして自閉症を中心とする発達障害の子どもたちへの誤解と偏見など、子どものこころの問題は多様化し、ますます深刻さを増してきている。
 このような子どもたちを取り巻く時代背景の急激な変化を見つめ直し、児童青年精神医学領域における研究と臨床における膨大な蓄積をもとに、大幅な改訂を試みた。章立てを組み替え、各論の構成と表現を見直し、執筆者はそれぞれのテーマに精力的に取り組んでいる方々を中心に大幅に入れ替え、資料は可能な限り最新のものを使うようにした。
 近年、子どものこころの問題にかかわるさまざまな職種の人々が急増している。保育所・幼稚園・学校(小中高、大学、専門学校、特別支援学校)、さらに職場などでメンタルヘルスの問題に取り組み、対応に苦慮している方々が多くなってきている。事例検討会、勉強会、講演会などで出会う人々の悩みを聞いていると、体系的に児童青年精神医学を学んでいる人はそれほど多くはなく、自分自身の個人的な経験や数少ない事例をもとに考えている人が多いようである。大学教育においても児童青年精神医学を体系的・臨床的に学ぶ機会が限られている日本の現状においては、児童青年精神科医を志す方々、小児科医・内科医の方で子どものこころの問題に関心をおもちの方々、さまざまな学問領域で学ぶ学生の方々をはじめ、教育・福祉・司法にかかわる方々など、子どものこころの問題に携わるすべての方々に是非、本書を通読して頂きたいと思う。

 2012年10月
 編者一同

■目次■

I. 総 論

1. 児童青年精神医学の歴史と特徴
2. 子どもの正常発達
3. 子どもの精神障害の診断
4. 子どもの精神障害の分類
5. 児童期の精神障害の原因
6. 子どもの治療に関する一般的原則
7. 子どもの精神療法
8. 子どもの人権

II. 各 論

1. 知的障害(精神遅滞)
2. 学習障害(読字障害、書字障害、算数障害、特定不能の学習障害)
3. 運動機能の特異的発達障害、発達性協調運動障害
4. コミュニケーション障害
5. 広汎性発達障害
6. 注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
7. 素行障害(CD)、反抗挑戦性障害(ODD)
8. 反社会的行動
9. 哺育障害
10.反応性愛着障害
11.チック障害、トゥレット障害
12.排泄障害
13.摂食障害
14.睡眠障害
15.選択性緘黙
16.統合失調症
17.うつ病性障害
18.双極性障害(I型・II型に分けて)
19.パニック障害
20.恐怖症
21.社交不安障害(SAD)—対人恐怖症との関連も含め
22.全般性不安障害
23.強迫性障害
24.ストレス性障害
25.適応障害
26.身体表現性障害
27.解離性障害
28.性障害および性同一性障害
29.境界性障害
30.児童虐待
31.物質関連障害
32.その他の行動障害

III. リエゾンサービス

1. 小児疾患へのコンサルテーション・リエゾン精神医学
2. 臓器移植
3. 骨髄移植
4. 死にゆく子どもと家族へのケア

IV. 精神保健をめぐる諸問題

1. 家族の精神保健
2. 学校精神保健
3. 地域精神保健
4. 母子精神保健
5. 海外から帰国した子ども(帰国子女)の心の問題

V. 治療的関与

1. 心理社会的治療
2. 力動的精神療法
3. プレイセラピー
4. 箱庭療法
5. 絵画療法
6. 家族療法
7. サイコドラマ
8. 集団療法
9. 行動療法
10.認知療法
11.言語療法
12.児童思春期の精神科入院治療
13.学校との治療的連携
14.特別支援教育の現状と課題
15.ソーシャルワーク
16.障害児の療育とハビリテーション
17.乳幼児母治療
18.生物学的治療
19.遺伝カウンセリング
20.司法精神医学
21.てんかん
22. EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)


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