子どもと家族のための  小児がんガイドブック



著 者
東京都立小児総合医療センター血液腫瘍科 編
発行年
2012年3月
分 類
小児科学一般/癌・腫瘍一般
仕 様
A5判・224頁・62図・33表
定 価
(本体 2,800円+税)
ISBN
978-4-8159-1895-8
特 色 
 小児がんにかかった患者とその家族が,小児がんの診断・治療・ケア等を知るための必携のガイドブック.
 東京都立小児総合医療センター血液腫瘍科の先生方が「子どもたちとご家族の役に立つ、小児がんのガイドブックをつくろう!」と企図し,小児がんにかかった患者とその家族が直面する不安や問題(小児がんの治療が受けられる病院はどこなのか?,何科にかかればよいのか?,小児慢性特定疾患の手続きはどうすればよいのか?,宿泊先はどうすればよいのか?,納得のいく治療を受けるために,病気に関する情報を集めるにはどうすればよいのか?)を少しでも解消できるよう,各小児がんの診断・治療法から,専門病院,手続,宿泊など,小児がんのあらゆる情報をコンパクトにまとめたガイドブック.
 小児がんと闘う子どもたちと家族に是非手にとっていただきたい一書である.

■ は じ め に ■

 2006年夏、17歳の高校2年生、D君が都内のあるがん専門病院に転院してきました。病名はユーイング肉腫です。地元の県立病院で診断がついてから、上京し治療が始まるまでの間、彼とお母様は大変な苦労をしました。@小児がんの治療が受けられる病院はどこなのか? A何科にかかればよいのか?B小児慢性特定疾患(という存在自体も最初はわかりません)の手続きはどうすればよいのか、C宿泊先はどうすればよいのか、D納得のいく治療を受けるために、病気に関する情報を集めるにはどうすればよいのか、などです。それを聞いたとき、少しでも役に立つ本をつくりたいと切実に思いました。
 そして、2007年春、同じ病気の15歳の高校1年生、N君が転院してきました。彼は最初の病院で、治癒率5%、まず助からないと宣告され、悩み苦しんでいました。しかし、病理検査で診断名が変わり、治癒率は約60〜70%と大きく変わりました。彼とそのご両親が、「もし小児がんでこんな本があったら…」と見せてくれた1冊の本(よくわかる子供の病気、宮下 守 著)がきっかけとなり、永井書店の山本美恵子様のご厚意によって、「子どもたちとご家族の役に立つ、小児がんのガイドブックをつくろう!」という企画が現実のものとなりました。
 この本が、小児がんと闘う子どもたちとご家族にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。そして1人でも多くの人が病気を克服し、もとの幸せな生活に戻れることを心から願っています。

2012年3月
金子 隆、湯有希、辻 尚子、大山 亘、石丸紗恵、斎藤雄弥
(東京都立小児総合医療センター 血液腫瘍科)

■ 主要目次

I.総   論

1. 小児がんってなに?
2. 小児がんでよくみられる症状
 1 熱がある、疲れやすい
 2 気持ち悪い、吐く
 3 頭が痛い
 4 眼や鼻の奥が痛い
 5 鼻血が出る
 6 眼や顔が腫れている、腕や脚が腫れている
 7 首にしこりがある
 8 おなかが膨らんでいる(腹部膨満)
 9 血液検査での異常(白血球増加、貧血、血小板減少など)
 10 その他の症状
3. どの病院の何科にかかればよいのでしょう?
4. 入院後の検査・処置について

 1 血液検査・尿検査
 2 心電図、レントゲン写真
 3 超音波検査(エコー)
 4 CT・MRI検査
 5 シンチグラフィ(骨シンチ、ガリウムシンチ、MIBGシンチ)
 6 FDG─PET検査
 7 腫瘍生検
 8 中心静脈カテーテル留置
 9 骨髄検査
 10 髄液検査
5. 治療について
 1 手術
 2 化学療法
 3 放射線治療
 4 造血幹細胞移植
 5 免疫療法、その他の治療
6. 副作用について
 1 治療中に起こるもの(急性毒性)
 2 後になって起こるもの(晩期障害)

II.各   論

1. 急性リンパ性白血病 (ALL)
2. 急性骨髄性白血病 (AML)
3. 骨髄異形成症候群 (MDS)
4. 慢性骨髄性白血病 (CML)、若年性骨髄単球性白血病 (JMML)
5. 悪性リンパ腫
6. 神経芽腫
7. 横紋筋肉腫、その他の軟部肉腫
8. ユーイング肉腫ファミリー腫瘍
9. 骨肉腫
10. ウィルムス腫瘍、その他の腎腫瘍
11. 肝芽腫、成人型肝癌
12. 胚細胞性腫瘍
13. 脳腫瘍
14. ランゲルハンス細胞組織球症 (LCH)
15. 網膜芽細胞腫
16. その他の稀な腫瘍

III.社会・福祉に関すること

1. 小児慢性特定疾患の申請
2. 重症患者認定の申請
3. 特別児童扶養手当の申請
4. 障害児福祉手当の申請
5. 税金の医療費控除について
6. がんの子供を守る会の療養助成について
7. 宿泊施設(マクドナルドハウスなど)について
8. 魔法の帽子(Wishing Cap)について
9. 地域連携・在宅医療サービスについて

W.生活に関すること

1. 外泊・一時退院中に気をつけることは?
2. 学校での生活について
3. 体力について
4. 食べ物について
5. お風呂について
6. 外出について(遠足、修学旅行、映画館、温泉・プールなど)
7. 友人や親戚について 188
8. 担任の先生や同級生の保護者への説明について
9. 受験について

X.つらい症状があるときのケアのしかた

1. 痛みがつらそうです
2. 吐き気がおさまりません
3. 下痢がつらそうです
4. 脱水が心配なのですが
5. 便秘で困っています
6. 食欲がありません
7. むくみがつらそうです
8. 咳がつらそうです
9. 呼吸が苦しそうです
10. おなかが張って(腹水貯留)つらそうです
11. よく眠れないみたいです
12. 気分が落ち込んでいます

Y.困ったときに

1. セカンドオピニオン・小児がん医療相談事業(診断や治療法など)
 について
2. 子どものエンドオブライフ・ケアについて〜その子らしく
  生きるために
3. この本に関するお問い合わせ先


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