脳神経外科バイブルVII


感染症・神経血管圧迫症候群を究める



著 者
著:窪田  惺(立川介護老人保健施設 わかば・前埼玉医科大学 助教授)
発行年
2010年7月
分 類
脳神経外科学
仕 様
B5判・380頁・14図・16表
定 価
(本体 8,000円+税)
ISBN
978-4-8159-1866-8
特 色 
 読みやすく, わかりやすい参考書をモットーとした脳神経外科バイブルシリーズ最新刊. 最終巻となる本書は,中枢神経系の感染症, 神経血管圧迫症候群を取り上げる.遭遇することは少ないが鑑別疾患として常に念頭に置いておくべき感染症,反対によく経験される機能的疾患である神経血管圧迫症候群,どちらも的確に診断し治療することは重要である.本疾患を深く掘り下げ,かつわかりやすく解説する.

●序   文●

 『脳神経外科バイブルシリーズの第7弾は「感染症と神経血管圧迫症候群」で、この巻が最終巻です。第1部が感染症で、第2部が神経血管圧迫症候群です。
 中枢神経系の感染症、特に脊椎・脊髄の感染症を経験することは少ないのですが、鑑別疾患として常に念頭においておく必要があります。逆に、神経血管圧迫症候群は、日常診療において比較的よく遭遇する疾患です。いずれの疾患においても的確に診断し治療することは大変重要であることは言うまでもありませんが、特に、機能的疾患である神経血管圧迫症候群の適切な治療は、患者さんを永年の苦しみから劇的に解放させることができます。是非、この機会に本症候群についても理解を深めて頂きたいと思います。
 本書の構成および特徴は、既刊の脳神経外科バイブルシリーズT〜Yと基本的には変わらず、以下のようになっています。

 ● 第1章は、感染症および神経血管圧迫症候群とも、これらの疾患を理解するうえで必要な解剖と機能、および症候群が記載してあります。
 ● 第2章は基本編ともいうべき部門で、感染症および神経血管圧迫症候群とも、その基本的事項ならびに実地臨床でよく遭遇する疾患を記載してあります。
 ● 第3章は、第2章で取りあげた疾患の一部については、さらに深く掘り下げて記載するとともに、経験することの比較的少ない疾患についても記載してあります。
 ● 第4章は、読者の方々がベッドサイドで役立つようにとの配慮から検査法、診断法、評価法や治療法を、また第1章〜第3章に掲載した内容を筆者の独断と偏見でまとめた「なまけもの編」、さらには試験勉強の際に役立つようにとの配慮から重要な項目を「耳よりな情報編」として掲載してあります。
 ●5 本書のところどころに、「快適空間」として余白を設けました。読者の方々のメモ帳としてお使いください。
 ●6 既刊の脳神経外科バイブルシリーズで取りあげた疾患や症候群のうち、必要な項目については本巻でも再度取りあげてあります。
 ●7 用語については、「日本脳神経外科学会用語委員会(編):脳神経外科用語集改訂第2版(南江堂,2006)に準じて記載しました。なお、一部、「痴呆」という用語を従来どおりそのまま使用している箇所があります。学名が変更され次第改正致しますので、ご了解ください。

 本書の執筆にあたり、多くの資料に目を通し、間違いのないように記載したつもりですが、読者の方々が読まれて異論のある箇所があるかも知れません。その際には、是非、編集室の方にご意見をお寄せ頂ければ幸いです。そして、皆様方とともに、よりよい参考書にしていきたいと思っています。
 なお、病理学的所見については、兵庫医科大学名誉教授窪田彬博士(現:神戸百年記念病院臨床検査部長)に有意義な助言を頂きました。この紙面をお借りして感謝の意を捧げます。
 最後に、本書の作成にあたり、文献の収集をお願いした日本医師会医学図書館の諸氏に御礼申し上げます。
〔おことわりとお願い〕
 本バイブルシリーズは医療関係者の知識の向上を図る目的で出版されたものです。したがって、一般の方々からの著者や出版社へのお電話やお手紙などでの個別のお問い合わせやご相談には応じかねますので、ご了承ください。

2010年7月
 窪田 惺

■ 主要目次

第1部 感 染 症

第1章 感染症へのプロローグ
1 感染症に必要な解剖と機能5
 1.大脳辺縁系
 2.脳室
 3.くも膜下腔とくも膜下槽(脳槽)
 4.脳脊髄液(CSF)
2 感染症に関連する症候群
 1.Argyll Robertson徴候
 2.Brudzin【´ ski徴候
 3.大脳鎌症候群
 4.Fisher症候群
 5.Froin徴候(Froin症候群)
 6.Gradenigo症候群
 7.Guillain-Barr【e´ 症候群
 8.Hunt症候群
 9.Kernig徴候
 10.Kl【u¨ ver-Bucy症候群
 11.抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)
 12.Pott【' s puffy tumor(ポット氏腫脹)
 13.Raeder症候群
 14.Romberg徴候
 15.Sj【o¨ gren症候群
 16.Westphal徴候

第2章 感染症へズームイン
●エントランス
 1.検査
 2.中枢神経系感染症の種類と分類
 3.顔面運動機能の評価法
1 髄膜炎
 1.総説
 2.細菌性(化膿性)髄膜炎
 3.ウイルス性髄膜炎
 4.真菌性髄膜炎
 5.結核性髄膜炎
2 髄膜炎後水頭症
3 ウイルス脳炎
 1.総説
 2.単純ヘルペスウイルス脳炎
4 頭蓋内膿瘍
 1.硬膜外膿瘍
 2.硬膜下膿瘍
 3.脳膿瘍

第3章 バージョンアップ編
1 Mollaret髄膜炎
2 辺縁系脳炎
3 原発性大脳半球間裂硬膜下膿瘍
4 稀な脳膿瘍
 1.ガス産生菌による脳膿瘍
 2.脳血管障害に続発する脳膿瘍
 3.ノカルジア脳膿瘍
 4.突然に卒中様症状により発生する脳膿瘍
 5.結核性脳膿瘍
5 下垂体膿瘍
6 脊柱管内膿瘍
 1.脊髄硬膜外膿瘍
 2.脊髄硬膜下膿瘍
 3.脊髄髄内膿瘍
7 中枢神経系の結核
 1.総説
 2.脳内結核腫
 3.結核性脳膿瘍
 4.脊髄髄内結核腫
 5.結核性脊髄髄内膿瘍
8 中枢神経系真菌症
 1.総説
 2.脳クリプトコッカス症
 3.脳アスペルギルス症
 4.脳カンジダ症
 5.ノカルジア脳膿瘍
9 中枢神経系寄生虫症
 1.総説
 2.脳寄生虫症
 3.原発性脊髄寄生虫症
10 感染性心内膜炎と中枢神経系病変の合併
 1.感染性心内膜炎
 2.感染性心内膜炎による中枢神経系病変の合併
11 感染性脳血管炎
 1.総説
 2.各感染性脳血管炎
12 梅 毒
 1.総説
 2.神経梅毒
13 ヒト免疫不全症ウイルスによる中枢神経および末梢神経障害
 1.総説
 2.日和見感染症
 3.脳原発性悪性リンパ腫
 4.HIV-1原発性感染症
 5.HIV感染に伴う脳血管障害

第4章 便利編 
I.診断、評価法、および治療編 
 1.House-Brackmannの顔面運動機能評価法
 2.各髄膜炎の髄液所見
 3.磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)の各成分の一般的意義
 4.細菌性脳動脈瘤の治療方針
II.なまけもの編 
 1.大脳辺縁系
 2.側脳室
 3.第3脳室
 4.第4脳室
 5.脳脊髄液(CSF)
 6.Argyll Robertson徴候
 7.Fisher症候群
 8.Gradenigo症候群
 9.Guillain-Barr【e´ 症候群
 10.Kl【u¨ ver-Bucy症候群
 11.抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)
 12.細菌性(化膿性)髄膜炎
 13.ウイルス性髄膜炎
 14.真菌性髄膜炎
 15.無菌性髄膜炎
 16.結核性脳髄膜炎
 17.Mollaret髄膜炎
 18.単純ヘルペスウイルス脳炎
 19.辺縁系脳炎
 20.頭蓋内膿瘍
 21.下垂体膿瘍
 22.脊柱管内膿瘍
 23.脳内結核腫
 24.脊髄髄内結核腫
 25.脳クリプトコッカス症
 26.脳アスペルギルス症
 27.カンジダ性髄膜炎
 28.脳トキソプラスマ症
 29.中枢神経系有鉤【嚢 虫症
 30.中枢神経系の包虫症
 31.脳肺吸虫症
 32.脳日本住血吸虫症
 33.感染性心内膜炎
 34.細菌性脳動脈瘤
 35.真菌性脳動脈瘤
 36.神経梅毒
 37.ヒト免疫不全症ウイルスによる中枢神経および末梢神経障害
III.耳よりな情報編

第2部 神経血管圧迫症候群

第1章 神経血管圧迫症候群へのプロローグ
1 神経血管圧迫症候群に必要な解剖と機能
 1.脳神経
 2.脳神経の髄鞘移行部(脳神経のObersteiner-Redlich帯)
 3.小脳
 4.後頭蓋窩の主要な動・静脈
 5.筋肉
2 神経血管圧迫症候群に関連する症候群・徴候
 1.Gilles de la Tourette症候群
 2.口部ジスキネージア
 3.Meige症候群
 4.チック
 5.ワニの涙症候群

第2章 神経血管圧迫症候群へズームイン
●エントランス
 1 片側顔面痙攣
 2 三叉神経痛
 3 舌咽神経痛
 4 痙性斜頸

第3章 バージョンアップ編
1 難治性めまい・耳鳴
2 難治性本態性高血圧症
3 椎骨動脈本幹や脳底動脈本幹の圧迫による神経血管圧迫症候群
4 Trigeminocerebellar arteryの圧迫による三叉神経痛

第4章 便利編
I.検査法と評価法 
 1.聴覚脳幹反応(ABR)
 2.眼輪筋反射(瞬目反射)
 3.眼瞼痙攣の評価法(Jankovic分類)
II.なまけもの編 
 1.脳神経
 2.脳神経の髄鞘移行部(脳神経のObersteiner-Redlich帯)
 3.小脳
 4.後頭蓋窩の主要な動・静脈
 5.片側顔面痙攣
 6.三叉神経痛
 7.舌咽神経痛
 8.頸性斜頸
 9.難治性めまい・耳鳴
 10.難治性本態性高血圧
III.耳よりな情報編


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