近年の生命科学の進歩に伴って数多くの医薬品候補物質が見い出され、臨床評価を経た後に医薬品として市販されています。臨床の現場でこれらを適正に使用することによって患者さんの予後は著しく改善しますが、一方、使い方を誤れば重篤な有害反応をもたらし、生命を脅かすこともあります。このように医薬品は「両刃の剣」であり、適切に用いるためには薬物治療の基礎知識を十分理解する必要があります。本書はこれらの領域の基礎知識をコンパクトにまとめたものであり、薬物治療学の入門書と位置づけることができます。
本書は、第1章:薬の基礎知識(臨床の場で最も使用されている薬を中心に臨床の現状に沿って解説しました)、第2章:臨床薬理の基礎知識(個別化薬物治療を実践するために必要な基本事項をまとめました)、第3章:薬の適正使用(薬を適正に使用するときに必要な基本事項をまとめました)、第4章:医薬品開発と臨床試験(臨床試験に参加するときに必要な基本事項をまとめました)、第5章:その他、から成っています。また各章では、Q&A形式によって重要なポイントを簡潔にまとめました。
本書は、臨床医(特に研修医)のみならず薬剤師、看護師および栄養士の方々を対象に書いたものであり、薬物治療を理解するために必要な情報源の1つとして利用して頂ければ幸いです。
2009年5月
藤村 昭夫