よくわかる 関節リウマチのすべて


著 者
編集 宮坂 信之
(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学 教授)
発行年
2009年2月
分 類
￿  膠原病・リウマチ学
仕 様
B5判・278頁・121図・写真115・76表
定 価
(本体 7,200円+税)
ISBN
978-4-8159-1829-3
特 色 
 これまで関節リウマチ(RA)は「難病」とされ,その治療には「負のスパイラル」が生じていたというのが実情であった.しかし最近の早期診断ツールの開発,抗リウマチ薬メトトレキサートの積極的使用や生物学的製剤の臨床応用などによって,完全寛解率の劇的な向上と関節破壊阻止が可能となり, RA治療に「正のスパイラル」をもたらしている.本書はその現状を,章立てして解説したRAのUp to Dateなテキストである.
 RAの病因,病態,診断,治療,さらには介護まで広くカバーし,診療および研究の第一線で活躍をする臨床医・研究者が執筆.専門医に十分対応しながら,コメディカル,研修医,開業医の方々にも理解しやすいように配慮した.とくにRAの治療の部分に力点を置き<負>から<正>への「パラダイムシフト」の実情を余すところなく解説している.
 RAについて「知りたい」と思う項を抜き読みすれば,Up to Dateな知識をすぐに入手できる,本書は関節リウマチのいまをしるための必携書である.


●序   文●

これまで関節リウマチ(RA)は不治の病であり,「難病」とされてきた。関節炎の進行とともに起こる関節破壊は,身体機能障害を引き起こす。しかし,RAの病因は不明であるために,予防は不可能である。これまで,RAの早期診断は必ずしも容易ではなく,治療薬の有効性や安全性も満足すべきものではなかった。診断の遅延,不十分な治療,それに伴う合併症の出現,さらには治療薬の副作用などによって,RA治療に「負のスパイラル」が生じていた,というのがこれまでの実態である。しかし,最近では,早期診断のためのツールが次々と開発され,発症早期から的確な診断を下すことができるようになった。また,抗リウマチ薬であるメトトレキサート(MTX)を早期から積極的に用いることによって,さらには生物学的製剤が臨床応用されたことによって完全寛解率は劇的に向上し,関節破壊阻止が可能になるという,いわゆる治療の「パラダイムシフト」が起こった。このような早期発見,早期からの積極的な治療は,RA治療に「正のスパイラル」をもたらしたといっても過言ではない。
 本書は「よくわかる関節リウマチのすべて」と題して,RAの病因,病態,診断,治療,さらには介護まで広くカバーしている。執筆者は,診療および研究の第一線で活躍をするバリバリの臨床医,研究者である。内容は,コメディカル,研修医,開業医も含めて理解しやすいように配慮したつもりである。特にRAの治療の部分は,「パラダイムシフト」の実情を余すところなく示している。また,生物学的製剤の「光」と「影」も明らかにしている。
 本書は最初から最後まで読了して頂く必要はない。ふと「知りたい」と思ったときに手に取り,必要な部分だけを「抜き読み」して頂いても結構である。RAに関するup-to-dateな知識を入手するには格好の書であり,RAを知るための必携の書となれば望外の幸せである。
 平成21年2月吉日
 編者 宮坂信之

■ 主要目次

1 関節リウマチとはどんな病気か?(概念・定義・病態生理)

2 関節の構造と機能

3 関節リウマチは誰に起こりやすいか?(疫学,環境因子など)

4 関節リウマチにはどんなタイプがあるか?

5 どんなときに関節リウマチを考えるか?(早期リウマチを疑わせる症状,検査異常)

6 関節リウマチの経過と予後

7 関節リウマチの診察(問診・触診など)

8 関節リウマチの診断に必要な血液検査

9 関節リウマチの診断に必要なX線検査と評価法

10 関節リウマチの診断に必要なMRI検査と評価法

11 関節リウマチの診断に必要な超音波検査法と評価法

12 関節リウマチの診断基準

13 関節リウマチの疾患活動性の判定

14 関節リウマチの身体機能評価

15 関節リウマチの関節外症状(肺・腎・アミロイドーシス)

16 若年性特発性関節炎とはどんな病気か

17 非ステロイド抗炎症薬の適応と副作用

18 抗リウマチ薬の適応と副作用

19 免疫抑制薬の適応と副作用

20 ステロイド薬の適応と副作用

21 生物学的製剤の適応と副作用

22 関節リウマチに対するTNF阻害療法施行ガイドライン

23 関節リウマチの関節破壊は防ぐことが可能か

24 滑膜切除術の適応と問題点

25 人工関節置換術の適応と問題点

26 関節リウマチ患者の教育入院と患者指導

27 関節リウマチのリハビリテーション

28 関節リウマチ患者の介護

29 関節リウマチ患者の心理と療養支援

30 関節リウマチ専門医教育(国内外の現状)

31 関節リウマチの薬剤経済学
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