見て視て診る マンモグラフィ画像読影ハンドブック 改訂第2版
−乳がん検診における読影技術の向上を目指して

著 者
編集 遠藤登喜子(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター高度診断部長)
発行年
2008年10月
分 類
￿  画像医学・超音波医学
仕 様
B5判・294頁・120図・44表・写真222点
定 価
品切れ中
ISBN
978-4-8159-1819-4
特 色 
 マンモグラフィ健診に従事するものが知っておくべき背景・技術・読影法をコンパクトに内容を奥深くまとめ,読者の厚い支持を受けてきた本書が,初版から2年を経て時代の進歩に合わせて改訂となった.
 マンモグラフィ検診の成否を決めるよい画像の作成・読影精度・有機的な運営システムを,本書は「読影編」「技術編」「施設画像評価編」で構成し,よい画像とわかりやすい解説に磨きをかけた.また,今回の改訂で特筆すべきは,世界最小の画素サイズの「直接交換方式」と「光学式スイッチング方式」による新方式のX線検出器を,その構造と原理および特性がわかりやすく解説されている点である.
 実際に撮影を始める診療放射線技師,読影をこれから習得される医師のための優れた入門書であり,ぜひお手元においていただきたい指導書である.


●序   文●第2版改訂にあたって

 乳がん検診が視触診からマンモグラフィ中心に切り替えられて,はや4年が経過した。この間にがん対策基本法の成立(2006年),実施(2007年)と,癌をめぐる法の再編が行われつつある。全国各地では,NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会の推進する検診マンモグラフィの精度管理に則って,乳房撮影装置の整備,乳房画像の品質向上,撮影技師と読影医師の教育が進んでいる。撮影装置は日本医学放射線学会の定める仕様基準を満たした装置3,800台以上の約1/3が施設認定を取得,医師・技師は各12,000名以上が講習を受講し,約9,200名の読影医師と約8,600名の撮影技師の資格が認定されている(2008年5月末現在)。
 こうしたマンモグラフィの精度管理の推進は,検診の場にとどまらず,精密検査施設=病院の診断・治療の水準に影響し,今やマンモグラフィの進歩は乳癌に関する医学・医療全体を進歩させたといっても過言ではない。
 このような状況の中,分担執筆者の精力的な執筆活動にて編纂された「見て視て診る マンモグラフィ画像読影ハンドブック」が多くの読者の支持を得て改版を重ね,今回は時代の変化を反映させた小改訂が行われることとなった。まだまだ全国的にみて乳がん検診受診率は高くはなく,また,精度も一律に満足であるとは言えない状態でもあり,多くのマンモグラフィ読影の中で,こんなことが……,と,思われることもあると思われる。
 そういったとき,もし本書がマンモグラフィ検診や診療に携わる読者の一助となることがあれば,本書の執筆・編集・制作にかかわった者にとって大きな喜びである。そして,さらに多くの早期乳癌の発見・診断・治療を行う場を通して,多くの医療関係者と心の通った関係を構築したい。これがマンモグラフィの精度管理の活動をしてきた編者・筆者たちの希望でもある。

2008年9月吉日
遠藤登喜子

■ 主要目次

I.読 影 編

1.乳がん検診の在り方とマンモグラフィ検診の精度管理システム
 1.乳がん検診の在り方
 2.マンモグラフィ検診の精度管理システム
2.マンモグラフィ検診精度管理中央委員会とその役割
 1.精中委の設立経緯と役割
 2.教育研修委員会の活動状況
 3.施設画像評価委員会の活動状況
 4.マンモグラム・レビュー委員会
 5.今後の課題
3.乳房の解剖と乳腺の病理
 1.乳房の解剖と組織
 2.乳腺の病理
4.読影に必要なマンモグラフィの基礎
 1.マンモグラフィの満たすべき条件
5.マンモグラフィの所見用語と読影法
 1.マンモグラフィの所見用語
 2.基本的読影法
6.マンモグラフィ読影の基本—典型的所見を呈する症例による解説—
 (1)腫瘤と局所的非対称性陰影
 (2)石灰化
 (3)構築の乱れおよびその他の所見
7.マンモグラフィ検診により発見された乳癌症例

II.技術編(マンモグラフィ撮影の基本)

1.撮影装置
 1.乳房X線撮影装置
2.スクリーン/フィルム・システムと現像

 1.蛍光体とスクリーン(増感紙)
 2.マンモグラフィのフィルム
 3.現像処理
 4.カセッテの取り扱いとスクリーンの清掃
 5.暗室の清掃
 6.自動現像機の管理
3.デジタルマンモグラフィ
 1.デジタルマンモグラフィ・システム
 2.デジタルマンモグラフィの画像表示
 3.画像処理例
4.撮影手技(ポジショニング)のコツとポイント
 1.受診者への接し方(接遇)
 2.圧迫
 3.乳房の可動性
 4.ブラインドエリア
 5.引き出しと圧迫
 6.ポジショニングのトレーニング
 7.標準撮影
 8.合格基準
 9.MLOのポジショニング
 10.CCのポジショニング
 11.追加撮影法
5.品質管理のコツとポイント
 1.品質管理の意味と目的
 2.日常の品質管理
 3.定期的な品質管理項目
6.モニタの精度管理
 1.医用画像表示用モニタ
 2.モニタの精度管理実際

III.施設画像評価編


1.施設画像評価の解説
 1.施設画像評価システム
 2.画像評価基準
2.品質向上指導の実例
 1.施設画像評価と品質管理
 2.画像不良の原因となる因子
 3.マンモグラフィ画像のトラブル対策
 4.品質向上指導の実例
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