経皮経食道胃管挿入術−適応から手技・管理の実際まで
- 著 者
- 監修: 亀岡 信悟
- (東京女子医科大学副院長・第二外科主任教授/日本PTEG研究会会長)
- 編集: 大石 英人
- (東京女子医科大学附属八千代医療センター外科診療部消化管外科長・講師/日本PTEG研究会常任幹事)
- 発行年
- 2008年1月
- 分 類
- 消化器外科学
- 仕 様
- B5判・202頁・158図(写真233)・42表
- 定 価
- (本体 5,700円+税)
- ISBN
- 978-4-8159-1799-9
- 特 色
- 経皮経食道胃管挿入術(Percutaneous Trans-Esophageal Gastro-tubing:PTEG)は,この本の編集者である大石英人先生が中心となって考案・開発された手技である.この新しい治療法を確立するために,編集者をはじめ多くのPTEG支持者が機器の改良と手技の改善に邁進し,また一方で学会や学会誌での報告,さらにはPTEG研究会の発足などによって,PTEGという手技の普及と発展に努めてきた.本書はその詳細をわかりやすく一冊にまとめた待望のテキストである.
内容は,第1章は胃瘻の目的と歴史,第2章は基本的事項である本手技の適応と禁忌,第3章はPTEGの造設法でのきめ細かな技術・注意点を初心者・熟練者双方に有益な情報を詳解,第4章はPTEGの管理を丁寧に解説,第5章ではPTEGの普及と啓蒙,となっている.
患者の立場にたった新しい医療技術を理解し役立てるために手元に置いていただければ幸いである.
監修のことば
経皮経食道胃管挿入術(percutaneus trans-esophageal gastro-tubing;PTEG/ピーテグ)は13年前に大石英人君が考案・開発した医療手技である。胃瘻(PEG)に代わる経管栄養ルート確保の1つとして頸部食道からチューブを胃内に留置する方法で、最近ではイレウスに対する腸管減圧にも応用されるようになった。
新しい治療法の確立には時間がかかるものである。この間大石君はじめ多くのPTEG支持者により機器の改良と手技の改善が行われ、また一方では関連学会や学会誌に報告、学会でも認められるようになった。さらにはPTEG研究会も6年前に発足し、徐々にではあるがPTEGという手技は普及しつつある。米国でもクリーブランドクリニックのポンスキー教授の支持もあり、この手技が始められたと聞いている。
これまでに足りなかったのが、まとまったテキストの出版であった。今回永井書店から本書出版の提案を頂いた。当初、PTEGのみに限って1冊のテキストにまとめることはかなり難しく、共著者を募っても原稿の集まりもよくないであろうと内心危惧を抱いていた。しかし出版の依頼を頂いてから1年足らずで、今回約200頁に及ぶ原稿のゲラ刷りが送られてきた。正直言って、執筆陣のバイタリティやモチベーションの高さに驚いている次第である。
本書は第1章の「PTEGの誕生と開発」から第5章の「PTEGの普及と啓蒙」まで5章にわたる。第1章は胃瘻の目的と歴史に始まり、1例目の経験談や非破裂型バルーン・PTEGセットの開発や改良点については大石君自身が執筆している。第2章では基本的事項である本手技の適応と禁忌がコンパクトにまとめられている。第3章のPTEGの造設法では初心者向けに体位の取り方、機材準備、消毒法、麻酔法に至るまできめ細かな注意点を、熟練者のためにはさらなるステップアップの目的で内視鏡を用いた方法や右側穿刺法についても言及されている。第4章のPTEGの管理では経管経腸栄養法、腸管減圧法、合併症、造設後の管理などコメディカルにもわかりやすいように丁寧に解説されている。第5章ではPTEGの普及と啓蒙というテーマで、今後の展望についても前向きな姿勢が示されている。
この手技は患者さんの立場に立ち、患者さんの目線で、患者さんのQOLを配慮した医療手技である。この手技が患者さんに福音をもたらすには、この手技を習得し管理できる医師やコメディカルの育成が喫緊の課題となる。本書がこのための一役を担えれば幸いである。
最後に、本書発刊のためにご尽力頂いた執筆陣、陰ながらご助力頂いた永井書店の関係各位に心から感謝申し上げます。
監修 亀岡信悟
■ 主要目次
第I章 PTEGの誕生と開発
1 胃瘻の目的と歴史
2 主な胃管とその相違点
3 PTEGの開発
1.第1例目の造設
2.非破裂型穿刺用バルーン(RFB)の開発
3.PTEGセットと周辺機器の開発
第II章 PTEGの適応と禁忌
1 PEGの禁忌とPTEGの適応
1.ガイドラインからみたPEGの禁忌症例に対するPTEGの適応
2.PEGの禁忌症例以外のPTEGの適応
2 PEG/PTEG共通の禁忌
第III章 PTEGの造設法
1 PTEGの造設手技
1.定型的造設法
2 造設手技の工夫
1.ガイドワイヤーおよびダイレーターの工夫
2.超音波穿刺の工夫
3.内視鏡を用いた造設
4.右側穿刺症例の経験
第IV章 PTEGの管理
1 PTEGの経管経腸栄養法
1.胃内投与と小腸内投与の基本
2.半固形栄養剤の投与の検討
2 PTEGの腸管減圧法
1.永久的腸管減圧法(癌性腹膜炎による腸閉塞の長期減圧)
2.一時的腸管減圧法(術後合併症に対する非短期的減圧)
3 PTEGの合併症
1.造設時合併症
2.造設後早期合併症と晩期合併症
4 PTEG造設後の管理
5 PTEG留置チューブの管理
1.カテーテル交換のコツ
—ベッドサイドでの交換(胃内留置例)や透視下での交換(小腸内留置例など)
2.カテーテルを長持ちさせるためのコツ
3.自己抜去に対する予防策
第V章 PTEGの普及と啓蒙
1 PTEGのクリニカルパス
2 PTEGとNST
3 PTEGの啓蒙と指導および教育
4 在宅医療と保険制度について
5 日本PTEG研究会の設立と活動
6 PTEGを取り扱っている施設の紹介
7 主な経腸栄養剤の紹介
8 PTEGキット、デバイスの今後への期待