序文
本書に掲載されているX線は,中之島リウマチセミナーの第3回から始まったX線クイーズの第10回までをまとめたものである.リウマチ病の診断には単純X線像の理解が不可欠なので,セミナー会場の外に設けた展示場で,セミナーの合間に出席者の気分転換と勉強の一助になればと思って始めた.
回を重ねるうちに出席者から,展示されたX線をまとめて出版してほしいという要望が強くなり,それに応えて昨年中に完成して参加者にお届けする予定であったが大幅におくれてしまった.たいへん不本意で,申し訳なく思っている.
やっと出来上がり,ここにご協力戴いた方々に深謝するとともに,約束を果たせて安堵している次第である.
本書の編集にあたっては,最初の方針通り全くのクイーズ形式にしようと思ったが,骨関節のX線に馴染みの薄い先生方もおられるであろうし,馴染みはあっても稀な疾患が多く含まれているので,診断よりもX線の読み方に主眼を置く方が実際に利用しやすいであろうと考え,左側の頁に問題のX線を出し,右の頁に解説し,スケッチで要点を把握しやすいように工夫した.また診断に役立つと思われる同一患者の補足のX線があれば,これも右側の頁に出して,診断のみならず,病気の本態を理解しやすいようにと考えた.あくまで読影を主眼にしたので,患者は性と年齢のみを呈示し,病歴や症状の記載は省くようにした.この点ちょっと奇異に感じられる方も多いと思うがご諒解願いたい.
読者はまず左頁のX線のどこに異常があるかを探したうえで右頁を見て,読影の結果を確かめて戴ければと思う.
なお,外来患者のX線の診断にあたって,類似の像を本書から求めるのに便なように,部位別索引を作った.またある疾患や症状,鑑別すべき疾患などについてkey
wordを選び,和文,英文両方から索引できるようにしてあるので合わせてご利用願いたい.
リウマチ性疾患のX線に関するまとまった本は少なく,以前に一度出したことがあるが,今回も長年リウマチ患者を診てきた医師達によるリウマチ病のX線診断のQ
& Aであって,リウマチ診療の現場で役立つことを願っている.
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