ISBN | 4-8159-1547-4 |
書名 | 電気回路による臨床電気神経生理学入門 |
編著者名 | 橋本 修治 天理よろづ相談所病院部長 |
主要目次 | 第1章 電気現象の基礎
索引 |
本体価格 | 4,500円 |
仕様 | A5判 192頁 93図 |
序文 本書は,臨床電気神経生理学における電位解釈の基礎を,電気回路を用いて解説したものです.電気生理学は重要な用語を物理学や電気化学など基礎科学から借用しています.電位,電場,分極,伝導,双極子などです.これらの用語は,電気生理学においては,基礎科学と必ずしも同じ意味では用いられていません.電気生理学におけるこれら用語独自の意味を,基礎科学における概念内容と混同せずに理解しておくことが必要です. 私たちが記録している電位は,時間経過を無視すれば陰性か陽性かしかありません.このような単純な記録から,意味のある情報を見つけ出し生体の複雑な実体に迫ろうとするのが電気生理学の姿とも言えます.私たちが知りたいのは電位変化自体ではなく,電位変化を発生している生物学的実体であり,それがどのような生命現象と関連しているかであります.このような知識を得るためには,電位差発生機序を理解しておくことが必要となります.本書では,記録された電位がどう見えるかではなく,何故それがそう見えるのかを簡単な原理に立ち返って考察することを目標としました.オームの法則,静電ポテンシャル,電気的中性の法則などを基本原理として,電位差発生機序を考察しました.私は,膜電位,活動電位,シナプス後電位,体積伝導体の一部,すべてではないものの少なくとも一部は,これらの法則を介して電気回路に置き換えることができると思っています.私の力不足のため,一部には電気回路に置き換えることができなかった項目もありますが,できる限り電気回路に置き換えて考察してみました. 本書は,もともと電気神経生理学に興味を持つ天理よろづ相談所病院の若い医師や,他院から研修に来られた人たち,および日頃いっしょに検査を行っている検査技師の方々に,電気神経生理学の基礎を理解してもらおうと思って書き出したものでした. しかし,電気回路や数式を多用したため,これらに慣れていない人には分かりにくいものになったかも知れません.数式は出発点となる考え方と式の最終的な意味が分かるように記載したつもりです.複雑な数式は読み飛ばしていただいても基本的な論点は理解できると思います.一方,数式に慣れている人には記述がくどいという印象を与えるのではないかと危惧しています.いずれも読者の寛容とご批判を期待する次第です. | |
電気回路による臨床電気神経生理学入門 |