ISBN 4-8159-1546-6
書名 体液・電解質異常の臨床 <今日の治療>
編著者名 菱田  明 浜松医科大学助教授 編集
主要目次 第1章 血清Na値の異常
  1. 高Na血症
  2. 低Na血症
第2章 体液量(Na量)の異常
  1. 体液量(Na量)の過剰
  2. 体液量(Na量)の欠乏
第3章 血清K値の異常
  1. 高K血症
  2. 低K血症
第4章 血清Ca値の異常
  1. 高Ca血症
  2. 低Ca血症
第5章 血清Pi値の異常
  1. 高Pi血症
  2. 低Pi血症
第6章 血清Mg値の異常
  1. 高Mg血症
  2. 低Mg血症
第7章 酸塩基平衡の異常
  1. アシドーシス
  2. アルカローシス
索引
本体価格 9,500円
仕様 B5判 248頁 62図 55表
序文
 臨床医の中で浮腫や心不全,脱水などの体液量の異常に遭遇しない人や,血清電解質や酸塩基平衡異常の患者をみない人は少ないであろう.体液量異常の患者,電解質や酸塩基平衡異常のデーターは我々臨床医の前に常にあるにも関わらず,その異常が持っている意味,解釈の仕方については十分理解されず,無視されたり,誤った治療方針が立てられていることが少なくない.
 水電解質代謝,酸塩基平衡異常についての理解が進まない理由の一つは,それらの異常になって何が困るかがよくわからないことにあるように思われる.また,多くの場合,生体の調節系が異常状態からの脱却に力を発揮してくれるため,治療の許容範囲がかなり広く,おおよその感覚で治療していけば何とかなるという面があることもあろう.また,全く逆で,これらの異常が激しい患者では基礎疾患が重篤なため何をしても助からないということもあり,自ら行った判断や治療が正しかったか否か,反省してみるチャンスに恵まれないということもあろう.
 しかし,注意深い観察によって水電解質異常のデータから患者の隠された病態が明らかとなったり,患者の管理が安全に行えるという場合も決して少なくない.
 著者は学生諸君に対して,「患者さんを見たら,それがどんな病気であれ,この病気で患者さんは何が困るかを考えてください.その困ることをどうしたら軽減または消失させうるか考える際には,なぜそうした異常が起きているかを考えてください」と言うことにしている.正常値からはずれた検査値をすべて正常にしようとすることや,低 Na 血症だから Na を入れるという発想は余分な病気をつくることになりかねないからである.
 本書では,まずそうした水電解質代謝異常の場合に困ることの典型例を提示し,水電解質代謝や酸塩基平衡の異常で何が困るのか,またなぜそれが起きるのかが分かることを第一の目標に置いた.そのことにより水電解質異常の患者さんを観察していく視点が定まるのではないかと考える.
 多くの水電解質異常は生体の適応能力を超えた異常が加わって起こるが,そうした異常の解決策を立てるうえでは,生体の調節系がどのような状態になっているかを理解したうえで決める必要がある.そのため,本書では病態の把握が容易になるよう各種電解質異常の発症機序や病態の解説に多くを費やした.
 また各種電解質異常の原因や頻度については出来る限り辞書的に使えるよう希なものも含め,リストアップするように努めた.
 本書が水電解質異常の勉強に縁遠かった人にとって多少でも役立てれば幸いである.また,本書をきっかけに水電解質代謝に興味をもつ方が増えればと願う次第である.
体液・電解質異常の臨床 <今日の治療>


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