ISBN | 4-8159-1531-8 |
書名 | 絶版 妊娠・分娩とホルモン <今日の治療> |
編著者名 | 仲野 良介 和歌山県立医科大学教授 |
主要目次 | I.生 理
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本体価格 | 10,000円 |
仕様 | B5判 258頁 76図 22表 |
序文 内分泌学は近年,劇的な変貌を遂げた.古典的な「ホルモン」のほかに,成長因子,サイトカイン,その他の生理活性物質などが次々に発見され,血流を介しての内分泌調節のみならず,局所ホルモンによる傍分泌,自(己)分泌調節が生体の機能調節に大きな位置を占めることが明らかにされてきた.最近では,成長因子やサイトカインを「ホルモン」と明記する研究者も現れ,すべての液性調節因子を「ホルモン」として包含しようという趨勢にある.また,著者が自己流に試用していた paracrinology autocrinology という用語も,一部で使われるようになってきた.さらに,心臓や血管が,そして脱落膜や羊膜がホルモンを産生するという発見も,ある意味で驚天動地の事件であった. 産科内分泌学も大きく変わった.上記の多種,多用な生理活性物質(これらをすべて「ホルモン」と呼んでもいいだろう)が内分泌,傍分泌,自(己)分泌の様式で妊娠の成立,維持や分娩に深くかかわっている様相が明らかにされつつある.子宮内膜,脱落膜なども単なる性ステロイドのターゲットではなく,多くの生理活性物質を産生して傍分泌,自(己)分泌調節を行う組織として脚光を浴びている.われわれが行いうる分娩の人為的修飾は,オキシトシンやプロスタグランジンの点滴による陣痛誘発の域を出ないが,子宮収縮には性ステロイド,プロスタグランジン,成長因子,サイトカインなど多種,多様の生理活性物質が関与しており,免疫反応,炎症反応としての一面がズーム・アップされている.妊娠高血圧(妊娠中毒症)の発症に,エンドセリンや心房性ナトリウム利尿ペプチドなど,わが国の研究者によって同定されたペプチド・ホルモンが深くかかわっていることも感慨深いものがある. 本書は以上のような視点から,妊娠と分娩の endocrinology, paracrinology, autocrinology に関する最近の進歩を紹介するものである.文献を読みながら,妊娠と分娩の液性調節にかかわる新しい世界を垣間見て,老書生は久しく忘れていた知的興奮を覚えた.この興奮を若い同学の方々にも同感して頂きたいと思う.また,毎日のお仕事で妊娠,分娩を取り扱うことを多い実地医家の方々にも,気の張らない読物として楽しんで頂ければ幸いである.各章は独立したかたちで書かれているので,幾分重複する箇所もあることをご了承いただきたい.と同時に,読者がご興味を持たれるどの章から読み始めていただいても,独立した総説としてご理解いただけるものと思う. 本書に紹介した自験例は,教室の矢本希夫助教授をはじめとする若い同僚たちの努力によるもので,ここに改めて敬意と謝意を表したい. | |
妊娠・分娩とホルモン <今日の治療> |