ISBN | 4-8159-1530-X |
書名 | 産婦人科最新診断治療指針 改訂第5版 |
編著者名 | 五十嵐正雄 群馬大学名誉教授・群馬中央総合病院顧問 小泉 武宣 群馬県立小児医療センター部長 安部 直利 元自治医科大学講師 |
主要目次 | 第1編 診断編
産科診断学
産科治療学新生児学 (小泉武宣) 産科麻酔学・婦人科麻酔学 (安部直利) 救急処置 |
本体価格 | 29,000円 |
仕様 | B5判 845頁 224図 156表 |
序文 本書は第一線の産婦人科医が外来で,分娩室で,ベッドサイドで眼前にいる患者の診断と治療をすぐに役立つ具体的な診断指針,治療指針をまとめたものである.この実用性と具体性とが本書の第1の特色であり,目的でもある. 本書の第2の特色は,旧版では治療指針だけを解説したが,「治療効果は正しい診断の下でのみ発揮される」ので,今回の改版に当たっては,患者の主訴からスタートして正しい診断に到達する道筋を分かりやすい flow chart として紹介した.この flow chart のほとんどは著者が自己の経験にもとづいて鑑別診断のコツを具体的に解説したものである. 本書の第3の特色は,産科学,婦人科学,新生児学,不妊治療学,内分泌治療学,婦人科腫瘍学,家族計画,母子保健,中高年女性医学,sexology など女性の医学のすべてを含む encyclopedia である.本書一冊でこれら専門分野の解説書,10冊以上の内容を含んでいるともいえる. 第4の特色は分担執筆ではなく一人の著者が一貫した方針で全頁を執筆していることである.現在,治療指針について多数の本が出版されているが,そのほとんどは多数の著者による分担執筆である.そのために内容は玉石混淆である.本書では新生児学と麻酔学だけはその道の専門医に執筆をお願いしたが,それ以外の頁の文責はすべて五十嵐にある.遺伝相談の欄は多野総合病院吉田光典部長の御校閲をえたことを深謝する. 第5の特色は,産科学,婦人科学,新生児学,麻酔学の1995年現在の最新情報,しかも日本だけでなく欧米の最新情報もできるだけ紹介したことである. 第6の特色は,患者の生死に関連する重大疾患や急変,きわめて難しい治療については特に詳細に具体的に治療法を詳述した.例えば,ショック,DIC,臍帯脱出の時の帝王切開開始までの処置,腹腔妊娠,子宮頚管妊娠,胎盤が子宮下部前壁に付着している時の帝王切開の方法,糖尿病合併妊娠,喘息合併妊娠などである.これら稀にしか起こらない異常であるにも拘わらず多くの頁をさいてあるので,いざという緊急事態の時に読者のお役に立つことはまちがいない. 第7の特色は単独執筆なので可能なことであるが,筆者のユニークな個性的な治療方針を随所に紹介したことである.その例を紹介すると診断に当たっては基本的基礎的事項を重視した.治療に関しては,「すぐ対症療法(鎮痛剤投与,解熱剤投与,消炎剤投与など)を行う医師は三流の医師である」と私は考えている.患者が来院したらまずその病態を in situ に正確に診断する.次にその原因を究明する.治療はその原因に対する治療,原因療法を行う.これが著者の根本的診療方針であり,philosophy である.全身療法よりも局所療法を重視するのも著者のユニークな方針である. 第8の特色は,産婦人科領域ことに産科領域は健康な母胎と胎児,新生児を対象としており,しかも妊娠,分娩時には突然母体の生命をおびやかすような異常や急変が起こりやすい.そして母児のいずれかが,または両方が不幸な結果に終わったときは医事紛争として医師が訴えられることが多い.本書はこのような異常緊急病態の予防と万一起こった時の適切な対策について随所に解説してある. 第9の特色は,随所に参考文献を紹介したことである.きわめてまれな症例については解説を省略し,文献のみを紹介した.自分が担当した症例について学会,学内,院内で症例報告する時,あるいはさらに詳細な文献的展望を必要とする時に本書にあげた文献はお役に立つはずである. 第10の特色は,産婦人科診療に大きなウエイトを占める感染症について多くの頁をさいたことである.次々と新しい抗生物質が開発され市販されているが,新しい抗生物質の使用により MRSA などの問題も発生しており,抗生物質の選択は感染症治療で最重要問題である. | |
産婦人科最新診断治療指針 改訂第5版 |