ISBN | 4-8159-1529-6 |
書名 | 腟式手術の基本と実際 |
編著者名 | 工藤 隆一 札幌医科大学教授 |
主要目次 | 第1章 腟式手術の骨盤内局所解剖
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本体価格 | 11,000円 |
仕様 | A4判 179頁 129図 写真48 |
序文 今回,腟式手術の執筆にあたり,教室での約40年に及ぶ期間と膨大な実施症例数に基づき,また指導御教示をしていただいた故 明石勝英名誉教授,橋本正淑名誉教授はじめ,先人から受け継いだ多くのことがらとそのエッセンスを可能な限り記すことが責務と考えた. 執筆にあたり,手術操作の要点を理解していただくためには文章も大切であるが分かりやすい図が大切と考え,多くの絵を掲載した.しかも,実際に手術を行う者が描いた図を使うようにした.これらの図は教室の山内 修博士と筆者自身が描いたものである. 次に,本の構成として,まず腟式手術をよく理解していただくため腟式手術を行う立場に立って,すなわち主に腟の方から見た局所解剖を第1章として記した.この局所解剖の章ではとくに子宮下垂,脱の手術ならびに膀胱瘤,直腸瘤の手術を理解していただくことを考慮して記した.また,腟式準広汎性子宮全摘出術,腟式広汎性子宮全摘出術を理解していただくために諸靭帯と,腟の方からみた靭帯ならびに中隔の周囲の腔に関する事項について若干詳しく述べるようにした.第2章では,腟式手術を容易に行ううえで必要と考えられる手術体位,手術機器,麻酔法などについて記した.第3章から第7章までは,多くの腟式手術術式のなかから主に婦人科手術に属するものを選び,第3章では子宮摘出と関係がない腟式卵管結紮術,筆者らが初めて行った腟式子宮筋腫核出術,腟式卵巣嚢腫摘出術,頚管妊娠における子宮温存術式の術式をまとめた.第4章では腟式単純子宮全摘出術について記したが,本術式はその後に述べる腟式手術の基本術式であることから,腟式手術の歴史を先に記し,その後術式について少し詳しく述べるようにした.第5章では世界的に腟式手術では早くから多くの施設で行われている性器脱・下垂関係の手術について,筆者が行っている手術操作を中心に記した.次に第6章,第7章では癌の腟式手術について述べた.まず第6章では,腟式準広汎子宮全摘出術について述べたが,この術式は腹式手術より手術侵襲が少なく,かつ完全に治癒することを目的に筆者が考案した術式である.この術式が今後早期の子宮頚癌,あるいは肥満した婦人の体部癌症例に多くの施設で実施されることを切望し,本章を設けた.最後に第7章には,浸潤子宮頸部癌に対する腟式手術として,腹膜外リンパ節郭清術と,基靭帯を骨盤壁から切断し,その後腟式に子宮を広汎性に摘出する術式について述べた.本術式について一般にはどのようにして実施されるのか理解しにくいものと考えられる.この点を考慮して,腹式手術のみ行われている方の理解が得られるよう配慮して記した.また広汎性手術として,その広汎度では問題があるのではないかとの指摘もあるが,広汎性摘出には問題がない術式であることを理解していただくため,本術式を行った症例の治療成績を示した.すなわち手術の侵襲を軽減して,かつ治療効果を腹式手術と比較してまったく遜色がない治療成績であることに基づき,本手術が可能な症例に実施していただくことを願って記した.さらに近年 laparoscopic assisted surgery が普及してきている.そして laparoscopic assisted lymphadenectomy を併用して腟式広汎性子宮全摘出術が行われている.これらの手術を今後発展させるためにも,腟式広汎性子宮全摘出術の基本手術を理解していただくことが重要と考え,本章を企画した. | |
腟式手術の基本と実際 |